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ヴァレンタインSS ~シャーニヤル~

Sun.17.02.2013
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【!!『王様ノ蝶』本編プレイ後の、閲覧をお勧めいたします!!】
※後日サイトに収納する予定です。
※『ヴァレンタインSS ~アルヴァイン~』はこちら。 砂漠の商業都市ラグーア城砦の主は変わり者で有名だ。
その変わり者は自身も変わっている物が大好きで、その趣向や行動は凡人のウカの理解を度々超えていく。

ウカが名実共にシャーニヤルの『蝶』として後宮で過ごすようになった今も、それだけはあまり変わらなかった。

【シャーニヤル】
「……っていうヴァレンタインという行事があるらしくてね、愛しい者にチョコレートという西洋菓子を贈ることで愛を告げるのだそうだ」

【ウカ】
「あー、なんか聞いたことあるかも……」

【シャーニヤル】
「それはよかった……! ではこれは私から君へのヴァレンタインだよ……はい!」

シャーニヤルはにこにこしながら、鮮やかな包みを二つウカに差し出す。

【ウカ】
「ありがとう。でも……なんで二つなんだ?」

【シャーニヤル】
「ひとつは君に。もうひとつは私におくれ……!」

【ウカ】
「…………そ、それでいいの?」

【シャーニヤル】
「うん! だって君、ヴァレンタインとか知らなかったでしょ? 今日の今日じゃ用意できないかもしれないし!
そんなの、つまらない! 私が!」

【ウカ】
「そ……そう」

ウカはしばらくじっと、その包みを眺めた。

【ウカ】
「どちらでもいいのか?」

【シャーニヤル】
「うん。おんなじだよ」

ウカは包みの一つを開く。ふわっとほんのりお酒の混じったような甘い香りがするそれを一粒手に取ると、覚悟を決めるように大きく息をついた。

【ウカ】
(これじゃあ、流石に不憫だもんな……)

癪ではあるが言われた通り、ウカは何も用意していない。しかし、このままポイと右から左へ渡すだけではあまりに忍びない。

【ウカ】
「ほら……あ、あーんしろ……」

【シャーニヤル】
「…………ウカ!!!!」

シャーニヤルは痛く感激した様子で、口元を手で覆った後、すぐに大きく口を開けた。

【シャーニヤル】
「あーん……」

【ウカ】
「…………」

ウカは三泊躊躇ってから、大きく開いたお口にチョコを放ってやる。

【ウカ】
「次、こういう時は、一個でいいから……」

【シャーニヤル】
「ふか(ウカ)……!」

シャーニヤルはしばらくもごもごさせて飲み込むと、もう一度口を開けて、そのまま固まった。

【ウカ】
「……?」

【シャーニヤル】
「はっ……しまった……。うっかり、自分で食べてしまった……どうしよう……」

【ウカ】
「は? なんだそれ。食べられないもの俺にくれたのか……?」

【シャーニヤル】
「ち、ちがう……これは、君用にちょっとしかけがあって、
君に食べてもらうはずが、君の魅惑の『あーん』につい我を忘れて食べてしまった……。
まあいいか……君にも食べてもらえば、結局同じことだし……ほら、ウカ、あーん……」

シャーニヤルはさっきウカがしてくれたように、一粒差し出した。

【ウカ】
「……そこまで聞かされて、食べると思ってるのか……!?」

【シャーニヤル】
「ご、ごめん……だって君なら騙されてくれるかなって……!」

【ウカ】
「俺、馬鹿だけどそこまでじゃないよ……! 一体、何入れたんだよ! 
本当に俺はあんたへの不信感が止まらないよ……!」

【シャーニヤル】
「……………………愛情?」

【ウカ】
「…………ほう。……じゃあ、食べても毒じゃないんだな?」 

【シャーニヤル】
「もちろんだよ!」 

【ウカ】
「なら、全部あんたが食べればいいだろ」

【シャーニヤル】
「そ、そんな……私の愛情を拒絶するということかい?」 

【ウカ】
「まさか。俺の愛情として、受け取って欲しいんだ。断らないよな?」 

【シャーニヤル】
「…………」

シャーニヤルはがっくりとうなだれた。

【シャーニヤル】
「愛情以外の隠し味も入ってるんだ……。うっうっうっ……」

【ウカ】
「あんた、いい加減その策に溺れるのに懲りろよ……。 
『隠し味』ってなんのことだ?」

【シャーニヤル】
「……お酒の成分を凝縮した奴……」 

【ウカ】
「…………そんなにおかしなものじゃないじゃないか」

ウカは思ってより普通でほっとする。

【シャーニヤル】
「……ワイン○○本くらい……」

【ウカ】
「……そっか。ぱく」

【シャーニヤル】
「……え?」

ウカは一粒とって自分で頬張った。シャーニヤルが目を見開く前で、あっという間に飲み込む。

【ウカ】
「……ん。味はおいしい」 

【シャーニヤル】
「う、うん……君の好みに合わせたんだ。お酒の香りもほんのりでしょ?」

【ウカ】
「あんた料理もできるんだな~。意外な特技だ」

【シャーニヤル】
「……っていうか、なんで食べてるの?」

【ウカ】
「なんでって、せっかくもらったし。あんたこそ、なんでこんなの作ったの?」

【シャーニヤル】
「き、君が酔っ払って、可愛くなるところがどうしても見たくて……」

【ウカ】
「俺、これくらいじゃ多分酔わないよ」 

【シャーニヤル】
「……これでも駄目なのか……一ヶ月も前から用意したのに……うううぅ……吐く……気持ち悪い……」

【ウカ】
「……おい、吐くならこっちに吐けよ。はい、お水」

ウカは慣れた風に、シャーニヤルを寝台に寝かしつけた。

【ウカ】
「…………。俺の好みの味の、普通のチョコレート、一ヶ月かけて作ってくれてたなら……
『隠し味』なんてなくても、……よ、酔っ払ってたかもしれないのに……」

【シャーニヤル】
「!!! …………ううっ……ウカが珍しく、こんなに可愛いことを言ってくれてるのに、
私は役に立ちそうも無い……どうしてこんなことに……」

シャーニヤルは両手で顔を覆って、天を仰いだ。といっても横になっているので、必然的に顔は天を向いているのだが、気持ちの問題だ。

【ウカ】
「どうしてもこうしても、自分のせいだろ……もう……本当にしょうがない奴だな……ほら、ちゃんと横になってろ。
また、こういう機会があった時、楽しみにしてるよ……」

【シャーニヤル】
「……また…………またっていつ……」

【ウカ】
「…………。
ヴァレンタインって……一ヶ月後に返してもいいんだっけ?」 

【シャーニヤル】
「ホワイトデーだね! …………私は、明日でもいいよ!」

【ウカ】
「明日とか、二日酔いで絶対無理だろ……
一ヵ月後に。お礼するよ。だから、今日はもう、早く寝ちゃいな……」

【シャーニヤル】
「うん……。……君はいつもずるいな……」

【シャーニヤル】
「今日だって隠し味どころか、チョコさえ用意してなかったくせに……いつも私ばっかり……」 

【ウカ】
「ずるくない。それを言ったらあんただって同じだよ」

【シャーニヤル】
「…………」

シャーニヤルはウカを試す。不安なのがわかる。だから本気で怒る気になれない。
それで少しでも不安が消えるなら、いくらでも試せばいいととさえ思う。

不思議なものだった。あんなに嘘が嫌だった頃もあったのに。

シャーニヤルの嘘や、隠し事は、時にシャーニヤルの本音を際立たせる。
本人はそれに気づいているのだろうか。それともわかっていて、止まらないのだろうか。

嘘をついてしまうことが、シャーニヤルの本心を照らし出してしまうのなら、
もっと、その嘘をみせて欲しいとさえ思う。

本当にシャーニヤルの為を思うなら、不安を消す為に嘘で試すなんて、やめられるのが一番だとはウカにもわかっている。

だから、ウカは嘘をつかれたら、それがどんな嘘でも叱ることにしている。
そして、それがどんな嘘でも必ず許そうと決めていた。

【ウカ】
「…………」

ウカはチョコを2、3掴んで頬張った。

【シャーニヤル】
「ウカ……?」

しばらくもぐもぐして、ゴクンと全て飲み込んだ。

【ウカ】
「お……俺も少し酔ったかも……」

ウカは寝台のシャーニヤルに覆いかぶさると、赤い顔をして言った。きっとチョコのせいだ。

【ウカ】
「チョコのお返しに……なんでも一個、言うこと聞いてやる。
だから……早くお酒ぬけよ……」

ウカはそっとシャーニヤルに口付けを落とす。今はこれで勘弁してもらう。

シャーニヤルはしばらく放心した後、再び両手で顔を覆った。

【ウカ】
「……?」

【シャーニヤル】
「何……何、このサービス……私ってそんなにかわいそうだった?
確かに自分で自分のチョコ用意したあげく、罠にも自分でかかって、相当馬鹿みたいだったなとは思ってたけど……
君にここまで気を遣わせるほど、自分が不憫だったとは……! ううっ……!」

【ウカ】
「……ちょっと……、なんでそこで落ち込むんだよ……!」

相変わらずこの変わり者の王様のツボがウカにはよくわからなかった。

【シャーニヤル】
「そうだよね……落ち込んでいる場合ではない。一大事だ。
君の気が変わらないうちに……――」

シャーニヤルは酔っ払いとは思えない軽やかな動作で、くるりと反転するようにウカを自分の下に組み敷いた。

【ウカ】
「…………え?」

【シャーニヤル】
「どうしよう……色々想像しただけでもう……!」

シャーニヤルは忙しなくウカの顔中に口付けを降らせる。

【ウカ】
「……酔ってたんじゃないのか!?」

【シャーニヤル】
「あ……ああ、もちろん! でも、醒めたから大丈夫! 全然たつから!」

【ウカ】
「酔った振りして、許してもらおうとか思ってたんじゃないだろうな……っ!?」

【シャーニヤル】
「……どっちだと思う……?」

【ウカ】
「…………」

【シャーニヤル】
「体に聞いてもいいよ?」

【ウカ】
「……聞くまでもないだろ……」

ウカは諦めてシャーニヤルの首へ腕をまわす。
口付けは、「隠し味」なしの、純粋な味がした。

<END>
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